67 火縄銃がつなぐ友好

 琵琶湖の北東に位置する滋賀県長浜市の長浜城歴史博物館に、戦国時代に活躍した男女3人の声を聞かせるコーナーがあります。天下統一へと突き進む織田信長軍に攻め落とされた小谷城主・浅井長政と、戦功により城持ち武将となった豊臣秀吉、おね夫婦との組み合わせは「湖国長浜」の歴史を代表する顔ぶれです。肖像画から頭部の骨格、肉づきなどをもとに合成した声は不思議なリアルさを醸し出しています。
 「秀吉の声は私の亡き叔父さん、おねは叔母さんの声に、よく似ています。そういえば顔も」
 そんな突飛な感想を私が口にすると、福井智英館長は「それはそれは」と顔をほころばせました。
 長政の妻は信長の妹お市(いち)の方。娘3人のうち長女茶々(淀君)は秀吉の側室。次女初は小浜藩主京極高次に、3女江(ごう)は江戸幕府の二代将軍徳川秀忠に嫁ぎます。湖北地域は支配者を変えて栄え、今に至ります。
 小谷城攻めの功で浅井氏の領地を拝領した秀吉は、当時の地名「今浜」を「長浜」と改め1573(天正元)年、長浜城を築きました。日本史の舞台として繰り返し登場する長浜市と西之表市が友好都市の盟約を結んだのは1987(昭和62)年。堺、根来と並ぶ鉄砲生産地となった国友の伝統を伝える国友鉄砲研究会と種子島火縄銃保存会との市民交流が始まりでした。

 今年10月、第37回長浜火縄銃大会に参加する種子島の鉄砲隊とともに私も長浜市を訪ねました。浅見宣義市長と友好を語り合い、来年2023年は長浜城築城から450年、鉄砲伝来から480年にあたることで盛り上がりました。これからも歴史を縁とする交流を深め、未来につないでいきたいと願います。

火縄銃演武を終えた種子島鉄砲隊と