49 「榕城湾」を歌い継ぐ

 東町の昭和三十年代の街並みや思い出をまとめた冊子「東町物語『タンタン川』」(編著・井元孝章さん)がこのほど発行されました。今は暗渠になっている玉川や石積みの岸岐が延びる旧池田港の写真を添える中に「榕城小学校応援歌」の歌詞を紹介しています。
 〽榕城湾頭秋たけて 甲女の流れ永久に
  盤石堅き赤尾木の 隼人の猛き血を受けて

  豊山の丘に気負い立つ 千八百に幸あれ
 フレー赤フレー赤 フレーフレーフレー
 私が通っていた頃は「千七百に幸あれ」と声を張り上げていました。少し脱線しますが、旧制第七高等学校(現鹿児島大学)の寮歌「北辰斜めに」と同じメロディです。
 〽北辰斜めに差すところ 大瀛の水洋々乎
  春花かおる神州の 正気はこもる白鶴城
  芳英永久に朽ちせねば 歴史もふりぬ四百年
 「北辰」は北極星のことで、緯度が低い地域ほど仰角が小さくなり、日本列島の南に位置する鹿児島では、斜めにやや低く仰ぎ見るという意味です。
 歌詞も旋律も意気高らかで、応援歌と歌詞を入れ替えて歌っても違和感はありません。
 応援歌に戻ると、歌詞冒頭の「榕城湾」は校歌にも「榕城湾を見渡せば馬毛の島かげ真帆片帆」と歌われています。わがふるさとは、海の玄関口である赤尾木の町から発展してきたのだと改めて思います。
 今年度、西之表港に耐震強化岸壁を造る事業が国の直轄事業として始まります。この節目を逃さぬよう、島勢発展へ市民の知恵を結集していきます。

市役所から望む西之表港と市街地