46 コロナの破魔願う

 新型コロナウイルス感染症の影響で、出初式や成人式のほか、栖林神社の大的始式など正月行事の多くが中止となり残念なことでした。ところで、悪霊、悪疫退散を願って催された安納神社の破魔祈祷はじめ、弓矢を使う行事が市内には数多くあります。
 現和・西俣では1月10日、大山神社境内にある八幡さまで破魔の行事が開かれました。起源は不明とのことですが、「現和郷土誌」によると、古老の話として吉平、屋仁吾、西俣という3人の兄弟がそれぞれ集落を開拓し、人口が増えてから住民の安泰を願って始まったと伝えられます。鎮重の弓、矢、コマを用いた儀式は、まず風本の浜から運んだ清めの砂を会場の地面に敷き広げます。神主が自宅の八幡大神に祭るコマを持参し、弓と矢を携えた自治会の正副会長2人が交互にコマを転がします。今年は自治会長の園田望さんが弓、副会長の園田和樹さんは神主なので、代わりに会計の鮫島真治さんが矢を担当しました。
 「鎮重の破魔、ハマ、ハマ」との掛け声でコマを転がし、弓や矢で止めます。コマは右に左に気まぐれな転がり方をしますが、転がり方や止め方の様子で、その
年の運勢を占うのです。
 この日は最後の3回目に園田会長がしっかり止めることができ、見守る人たちから拍手喝采がわいて、会長は大いに満足気でした。この後、祭事は拝殿に移り、最後は「めでた節」を合唱して終わりました。
 コロナ禍で各種行事の中止が相次ぐなか、「コロナも撃退」と破魔の開催
を喜ぶ人々の様子に、伝統を大切に守る地域の絆を感じました。

弓と矢、コマで展開された破魔の行事