39 カメノテの文化一致

「われわれは瓜を縦に切る。日本人は横に切る」
 織田信長や豊臣秀吉に会ったポルトガル人の宣教師ルイス・フロイス(1532~97)は日本人の生活や風俗を記録した冊子「ヨーロッパ文化と日本文化」(岩波文庫)にそう書いています。西洋と日本との違いを感じることは多いのですが、共通点もあります。
 「種子島では、カメノテを食べますか」
 ポルトガル共和国のヴィラ・ド・ビスポ市で、アデリーノ・ソアレス市長がにこやかに問いかけてきました。姉妹都市を結んでから25周年を迎え、小中学生を含む市民と訪問した昨年1月のことです。
 「亀の手」に似たカメノテは、エビやカニと同じ甲殻類です。種子島では「セイ」と呼び、焼酎の肴や味噌汁用に珍重されています。「ペルセベス」と呼ぶポルトガルやスペインでも高級食材であり、ソアレス市長に塩ゆでをごちそうになったので、来島した昨夏、お返しに種子島産を食べてもらいました。
 ところで、ヨーロッパの南西端に位置するヴィラ・ド・ビスポの街やサン・ヴィセンテ岬、サグレス岬の断崖を一望する航空写真が寄贈され、西之表市役所の市長応接室に飾ってあります。
 陸地が大海に突き出す景観は、種子島の喜志鹿崎や門倉岬、太平洋岸の奇岩のある風景に似ているところもありますが、大西洋に食い込むユーラシア大陸のスケールの大きさに圧倒されそうです。
 今秋、種子島でのサーフィン大会にヴィラ・ド・ビスポ在住のボディボード元世界チャンピオンのジョアナ・シェンカーさんを招く予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で中止となり、残念でなりません。
 来年は、きっと実現させたいものです。

ヴィラ・ド・ビスポのサン・ヴィセンテ岬