平成13年9月 集中豪雨災害5
防災行政無線の活用
9月2日の豪雨当日、16時25分の警報発令時と同時に災害警戒本部を設置し、情報収集後、16時48分に防災行政無線で、屋内・屋外の施設を活用し災害警戒情報を住民に伝達した。
以降、災害関連情報を9月8日までの一週間にわたり、実に5時間27分10秒、回数にして175回の放送を行った。
この情報伝達により、災害の拡大を防除した実績は大きく、市民のなかからも「もし防災行政無線がなかったら、この災害による被害はこの程度では済まなかったであろう。」という声が多数聞かされた。
災害発生と自主防災組織
自主防災組織は、平成7年4月に設立された「池野防災会」と同年6月に設立された「現和校区防災会」の2つの組織であったが、校区市政連絡員の防災に係る先進地視察の実施や広報紙等によるPR活動により、平成13年6月に新たに10校区が組織化されていた。
組織化されて間もない期間で、訓練等も実施していなかったが、「隣保共同の精神」が風習として残っている地域が多いことから、人的被害が少なかったと考えられる。
防災会が自主的に避難を呼びかけ、災害弱者の援助を行ったり、土のう積み作業、災害箇所の点検等を行った。
また、家屋の流出事故が発生し行方不明者がでた現和校区自主防災会では、3日間、防災会長を中心に、住民による炊き出し、消防・警察・市役所と共同で捜索活動を実施した。
なお、捜索活動については、行政機関が捜索打ち切りを決定した以降も引き続き行われた。
行方不明者の捜索
現和浅川地区で発生した家屋流出事故では、地元消防分団、消防署員、警察署員、市役所職員、海上保安庁職員、地元自主防災会等が海岸線を捜索、海上保安庁ヘリ、県警ヘリ、県防災ヘリが上空から3日間にわたり懸命な捜索活動を実施したが、発見することができなかった。
また、捜索活動中に同校区内の男性の車は発見されたが、本人が行方不明との連絡が捜索本部に入り、地元消防団員と消防職員で車が発見された付近を捜索し、河川に流出してきた木に男性の遺体が引っかかっているのを発見、家族により行方不明の男性であると確認した。
ライフラインへの影響
1.市内全域の2,999戸で一時停電、現和校区を中心とする1,669回線が一時通話不能、市内全域の4,666戸で断水となった。なかでも断水状況はひどく、ピーク時には市民の半数以上の11,098人に影響があり、復旧に一週間を要すこととなった。
水道事業名 | 断水戸数 | 人数 | 被害状況 | 断水期間 |
---|---|---|---|---|
西之表上水 | 2,100 | 4,952 | 浄水場の冠水、河川を横断する水管橋決壊 | 3日18時~8日10時 |
住吉簡水 | 236 | 492 | 取水口、導配水管破損 | 2日18時~8日18時 |
田之脇簡水 | 207 | 417 | 浄水場の冠水 | 3日 8時~9日12時 |
国上簡水 | 1,150 | 2,908 | 取水施設の冠水、道路決壊による送配水管破裂 | 3日 8時~10日10時30分 |
南部簡水 | 324 | 773 | 取水口土砂埋没、道路決壊による送配水管破裂 | 2日23時~8日18時 |
安城簡水 | 135 | 300 | 導水管破損 | 3日18時~8日10時 |
岳之田簡水 | 49 | 118 | 取水施設の冠水、断線による取水ポンプ停止 | 3日 8時~8日 8時 |
古田簡水 | 129 | 305 | 取水施設の破損、配水管破損 | 3日 8時~8日18時 |
安納簡水 | 336 | 833 | 浄水場冠水によるポンプ停止 | 3日 8時~8日18時 |
下石寺簡水 | 0 | 0 | 浄水場(ろ過地)土砂埋没 | なし |
現和簡水 | 0 | 0 | 第1水源導水管破損 | なし |
計 | 4,666 | 11,098 |
2.災害発生から約一週間に及び断水状態の中で、早朝から深夜にわたり市職員約230人を動員して、防災行政無線での広報と断水地域への広報車による広報を行い、飲料水の配布、病院や団地等のタンクへの給水作業を実施した。
この給水活動には、熊毛地区消防組合西之表消防署、同中種子分遣所、同南種子分遣所の水槽付きポンプ車(10トン)が威力を発揮した。
この間、本市と友好姉妹都市の大口市からは、多数の飲料水を大口市職員、商工会議所のメンバーが運び込み、本市職員と一体となって、市内各地への飲料水の搬送業務に携わっていただき、被災を受けた住民はもとより本市職員の励ましにもなった。また、熊毛地区消防組合西之表消防署には、大口市外四町消防組合大口消防署職員が災害援助に駆けつけ、消防活動に従事していただいた。
その他にも、災害の情報を知った県内外の方々から飲料水等の物資支援をいただき給水作業が、災害の規模にしては短期間のうちに終了することができた。
防疫活動
市民生活課において、床上及び床下浸水にあった住居等に対し、感染症や食中毒の予防のため、9月3日から9月20日までの間、1,266戸に対し防除作業を実施した。
校区 | 床上 | 床下 | 計 |
---|---|---|---|
榕城 | 134 | 841 | 975 |
上西 | 1 | 28 | 29 |
下西 | 0 | 24 | 24 |
国上 | 8 | 29 | 37 |
伊関 | 4 | 11 | 15 |
安納 | 1 | 8 | 9 |
現和 | 8 | 74 | 82 |
安城 | 1 | 6 | 7 |
立山 | 0 | 0 | 0 |
中割 | 0 | 0 | 0 |
古田 | 4 | 11 | 15 |
住吉 | 0 | 73 | 73 |
計 | 161 | 1,105 | 1,266 |
防除作業の戸数は、感染症予防のためのものであり、災害被害の戸数とは異なる。
税の減免
災害を受けた人の救済措置として平成13年度分の市税等の減免を実施した。
種目 | 減税者数 | 金額 |
---|---|---|
個人市民税 | 27 | 446,900 |
個人県民税 | 27 | 239,000 |
固定資産税 | 131 | 266,109 |
都市計画税 | 5 | 1,291 |
国民健康保険税 | 43 | 2,313,200 |
合計 | 233 | 3,266,500 |
(実質減免者は、206人)
災害見舞金
今回の豪雨災害に際しまして、西之表市及び西之表市社会福祉協議会に災害見舞金として多額の寄付が寄せられました。
西之表市への寄付金につきましては、現年度の公共土木事業に充当しました。
また、西之表市社会福祉協議会に託された見舞金及び義援金の公平な配分を行うため、配分委員会を設置し、被災者へ配分しました。
なお、寄託金、寄付金の額及び配分状況については、次のとおりです。
1.西之表市への寄付金 3,280,000円
- 西之表市消防団員 1,750,000円
- 堺市 1,000,000円
- 大口市 500,000円
- 種子島地区土地改良区役職員連絡協議会 30,000円
2.西之表市社会福祉協議会への寄託金
- 寄託金総額 7,230,078円
- 件数 (個人16、団体25、会社等29)70件
- 配分状況 4,520,000円
区分 | 件数 | 配分額(円) | 配分総額(円) |
---|---|---|---|
死亡 | 1 | 100,000 | 100,000 |
行方不明 | 1 | 100,000 | 100,000 |
負傷 | 1 | 80,000 | 80,000 |
家屋全壊 | 7 | 100,000 | 700,000 |
家屋半壊 | 1 | 80,000 | 80,000 |
家屋一部損壊 | 17 | 30,000 | 510,000 |
家屋床上浸水 | 59 | 50,000 | 2,950,000 |
合計 | 87 | 4,520,000 |
残額2,710,078円については、防災資機材の購入など自主防災組織の育成、強化費用等の防災に関する経費に使用していきます。
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