平成13年9月 集中豪雨災害1

種子島測候所観測史上最高の豪雨

 平成13年9月2日(日曜日),朝から弱い雨が降っていた。種子島測候所では,同日11時20分に,種子島地方に雷,波浪注意報,屋久島地方に大雨,雷,波浪,洪水注意報を発令した。九州南部地方に前線が停滞し,この前線に向かって南から太平洋高気圧周辺を流れる暖かく湿った空気が流れ込み,種子島・屋久島地方の大気の状態を不安定にさせているのが要因であった。
 午後になっても断続的に雨は降り続き,16時25分には,種子島地方に大雨,洪水警報が発令され,種子島測候所では,18時までの1時間に126ミリの記録的な大雨を観測した。 この数字は,1950年に種子島測候所で観測開始以来,最高の時間雨量であった。また,鹿児島県が設置した雨量計(土砂災害発生予測情報システム)によると,能野で134ミリ(17時30分までの1時間),西之表で123ミリ(18時5分までの1時間),国上で143ミリ(19時までの1時間),現和で144ミリ(18時50分までの1時間),中種子町浜津脇で全国歴代3位に相当する162ミリ(17時までの1時間)の雨をそれぞれ観測した。

【参考】過去最大時間雨量記録

 種子島  103.5ミリ(1950年11月10日)
 鹿児島県 104.5ミリ(1955年8月11日,鹿児島市)
 全国1位 187.0ミリ(1982年,長崎市長壱)
    2位 167.2ミリ(1952年,徳島県阿南市福井)

日降水量は,種子島測候所で341ミリを記録したが,16時から20時までの間に286ミリと集中していた。 また,9月6日も一時激しい雨となり,19時までの1時間には88ミリの時間雨量を記録した。

過去の気象災害との比較

 今回最大の被害を受けた種子島(熊毛支庁土木課管内)について,過去15年間の主な気象災害(異常気象)を国土交通省河川局所管の公共土木施設災害の点から見てみる。
 なお,今回の異常気象は,時間雨量162ミリ,最大24時間雨量479ミリ,総雨量683ミリであった。また,国土交通省河川局所管の公共土木施設の被災額は,60億4639万円(報告)である。

(1)平成10年6月12日~6月22日の梅雨前線豪雨

 梅雨前線上に低気圧が発生し,活動が活発化した。また,前線が奄美群島から本州中部付近を往来したため,県内全域が約2週間の大雨となった。種子島においても,最大時間雨量50ミリ,最大日雨量318ミリ,総雨量771ミリを記録した。過去15年間で日雨量は3位,総雨量は1位の雨であった。
 このときの建設省所管公共土木施設災害は9億3,464万円(決定金ベース)にのぼった。

(2)平成7年6月30日~7月4日の梅雨前線豪雨

 九州北部に停滞している梅雨前線に向かって,南から湿った暖かい空気が流れ込んだため,大気の状態が不安定となり,鹿児島北部を中心に雷を伴った豪雨となった。種子島においては,7月1日のみの豪雨であったが,最大時間雨量45ミリ,最大日雨量319.5ミリ,総雨量330ミリを記録した。過去15年間で日雨量が2位の大雨であった。
 このときの建設省所管公共土木施設災害は7億6,041万円(決定金ベース)にのぼった。

(3)昭和63年6月18日~6月24日の梅雨前線豪雨

 種子島と奄美大島の間に停滞していた梅雨前線が南下し,前線上を低気圧が進んできたため,18日から21日にかけて奄美地方が強い雨となった。種子島でも17日から降り始め,23日までの総雨量が175ミリに達した。最大時間雨量が44ミリ,最大日雨量が143ミリであった。
 このときの建設省所管公共土木施設災害は5億5,293万円(決定金ベース)であった。

(4)最大時間雨量

 平成9年11月28日の豪雨では,最大時間雨量122ミリ(県の雨量計)を記録した。
 このときの建設省所管公共土木施設の被災額は3,319万円であった。(最大日雨量222ミリ,総雨量234ミリ)
  平成3年6月28日~7月4日梅雨前線豪雨では,最大時間雨量が85ミリを記録した。
 このときの建設省所管公共土木施設の被災額は1億5,654万円だった。(最大日雨量261ミリ,総雨量306ミリ)
  平成11年6月10日~9月13日の梅雨前線豪雨では,最大時間雨量が77ミリを記録した。
 このときの建設省所管公共土木施設の被災額は3億6,006万円だった。(最大日雨量274ミリ,総雨量291ミリ)

(5)最大日雨量,総雨量

 平成9年9月12日~9月16日の台風19号では,最大日雨量が321ミリを記録した。また,総雨量も485ミリに達した。
 このときの建設省所管公共土木施設の被災額は2億8,178万円だった。(最大時間雨量31ミリ)
 昭和60年8月6日~8月13日の台風8,9号では,総雨量が346ミリを記録した。
 このときの建設省所管公共土木施設の被災額は6,847万円だった。(最大日雨量50ミリ,総雨量278ミリ)

(6)今回の災害との比較

 まず,国土交通省河川局所管公共土木施設(文中,建設省所管公共土木施設は同意語)の被災額を比べても,今回の災害がいかに大きなものであるかが分かる。過去15年で最高被災額が9億3千万円強(決定金ベース)であるのに対して,今回が60億5千万円強(報告ベース)と,約6倍強にのぼる。これは,最大時間雨量,最大日雨量ともに観測史上最大であることから,大量の雨が短時間に降ったことにより災害が拡大したものと推察される。2週間で771ミリの降水量を記録した平成10年6月12日から6月25日の間の被災額が9億3,464万円(決定金ベース)にとどまっていることからも,集中豪雨の恐ろしさがうかがえる。

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