パブリックコメント制度実施要綱の考え方

 パブリック(公衆)・コメント(意見)制度は、市が政策等を決めるときに、案の段階で市民の皆さんに広く公表し、ご意見を伺うといった制度です。
 西之表市においては、平成16年度に「西之表市パブリック・コメント制度実施要綱」を制定し、一定の手続きにのっとり、幅広く市民の皆さんのご意見をお聞きすることとしました。

パブリック・コメント制度の実施により、市民参画機会の拡充を促進し、さらなる行政運営の透明性と市民との協働による市政の推進を図っていきます。

目次

  • 第1条 目的
  • 第2条 定義等
  • 第3条 対象
  • 第4条 適用除外
  • 第5条・第6条 政策等の案の公表等
  • 第7条 意見等の提出
  • 第8条 意思決定に当たっての意見等の考慮
  • 第9条 実施状況の公表
  • 第10条 委任
  • 附則(施行期日、経過措置)

目的

第1条

この要綱は、パブリック・コメント制度の実施に関し必要な事項を定めることにより、市民に対する説明責任を果たし、市の行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって市民との協働による開かれた市政の推進に資することを目的とする。

考え方

 市の基本的な政策等を策定するとき、その案を事前に公表し、市民等からその案に対しての意見等の提出を受けるとともに、その寄せられた意見等を十分に考慮して、最終的に案を決定していくまでの過程を公表する、また寄せられた意見等について市の考え方も併せて公表していくものです。
 市民に対して行政参画機会の拡充を図るとともに説明責任を果たすことで、行政運営の公正確保と透明性の向上、さらには市民との協働による行政の推進を図っていくものです。

定義等

第2条

この要綱において「パブリック・コメント制度」とは、市の基本的な政策等の策定過程において、案の段階でその趣旨、目的、内容等を広く市民等に公表し、これに対して市民等から提出された意見及び情報(以下「意見等」という。)を十分に考慮して最終的な意思決定を行うとともに、当該意見等に対する市の考え方を公表する一連の手続をいう。

2. この要綱において「実施機関」とは、市長(水道事業管理者の権限を行う市長を含む。)、教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいう。

3. この要綱において「市民等」とは、次に掲げるものをいう。

  1. 市内に住所を有する者
  2. 市内に事務所又は事業所を有するもの
  3. 市内に存する事務所又は事業所に勤務する者
  4. 市内に存する学校に在学する者
  5. 本市に対して納税義務を有するもの
  6. 前各号に揚げるもののほか、パブリック・コメント制度に係る事案に利害関係を有するもの

4. パブリック・コメント制度は、市の政策等に対して市民等の賛否を問うために行うものではない。

考え方

  1. 国においては、平成11年4月から「規制の設定又は改廃にかかる意見提出手続」が各省庁で採用されており、全国の自治体でも広く取り入れられています。
  2. 実施機関とは、パブリック・コメント制度を実施する市の機関をいいます。
  3. 在住、在勤、在学のほかに本市以外に居住するもの(利害関係者など)を市民等と位置づけて広く意見等を募集します。
  4. この制度は、市の政策等の案に対しての意見等を伺うものであり、その案の賛否を決めるものではありません。

対象

第3条

パブリック・コメント制度の対象となる事案は、次に掲げるものとする。

  1. 市の基本方針や基本的な事項を定める計画の策定又は改廃
  2. 市民生活に密接に関連する重要な施策に関する条例の制定又は改廃
  3. 市民に義務を課し、又は権利を制限することを内容とする条例(金銭徴収に関する条項を除く。)の制定又は改廃
  4. 前3号に掲げるもののほか、実施機関が必要と認めるもの

考え方

1. 対象事項については、基本的に市民生活に直接重大な影響を与えるもので、市内全域または全市民が対象となるものが想定されます。

  1. 将来の市の施策の基本方針、基本的な事項を定める計画など
    ・これらの計画を新しく策定、改廃しようとするとき
    ・○○計画、○○構想、○○プラン、○○総合計画等
    ・(ごみ処理基本計画、高齢者福祉計画、長期振興計画、防災計画など)
  2. 市政全般や個別行政分野における基本理念などを内容とする条例
    ・これらの条例を新しく制定、改廃しようとするとき
    ・○○条例(情報公開条例、男女共同参画条例、環境基本条例など)
  3. 広く市民等に適用される規制を定める条例(地方自治法第14条第2項)

 「市税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関する事項」については、市民に義務を課すものに該当しますが、金銭賦課徴収に関する事項を対象とした場合には、財政に与える影響について十分な検討のないまま負担軽減を求める意見が多数提出されることが予想され、容易に修正すると市の財政的基盤を揺るがす恐れがあり、この制度の目的に反する(賛否を問うものではない。)ので対象外とします。また、地方自治法第74条第1項(地方税の・・・対象外となっている。)のほかに、介護保険料や金銭徴収一般にも影響を及ぼすことが考えられるため、かっこ書きは(金銭徴収に関する条項を除く。)と表示します。

地方自治法第14条第2項
 普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない。
地方自治法第74条第1項
 地方税の賦課徴収並びに分担金及び手数料の徴収に関するものについては、条例の制定・改廃の対象外となっている。

2. 広く市民等に適用される規則や要綱、運用基準等の場合で、特定の者に対しては適用外となります。

適用除外

第4条

次の各号のいずれかに該当するときは、パブリック・コメント制度の対象としないことができる。

  1. 迅速若しくは緊急を要するもの又は軽微なもの
  2. 政策等の策定に当たり、実施機関の裁量の余地がないと認められるもの
  3. 法令その他の規定により、縦覧、意見書の提出、公聴会の開催等パブリック・コメント制度に準じた手続と同様の手続を行うもの
  4. 地方自治法(昭和22年法律第67号)第74条第1項による直請請求により議会に付議するもの

考え方

  1. 「迅速若しくは緊急を要するもの」とは、この制度手続に係る所要時間の経過により、政策等の効果が損なわれるなどの理由が発生します。(例;災害など緊急を要する必要性があるもの)
     「軽微なもの」とは、制度の大幅な改正又は基本的な事項の改正を伴わないものや上位の計画などの変更に伴う一部の表現を変更する場合をいいます。
  2. 「実施機関の裁量の余地がない」とは、上位法令や国・県の計画にその内容が詳細に規定されていて、その規定にそった形で決定をしている場合をいいます。
  3. 法令などの規定により、縦覧や公聴会の開催などの実施が義務付けられている場合をいいます。ただし、パブリック・コメント制度を実施した場合と同様の効果が期待できるよう(市民等から提出された意見に対する説明責任(=市の考え方)のことをいいます。)努めなければなりません。
     なお、法令などの規定に基づくことなく、実施機関の裁量で公聴会を実施する場合は、パブリック・コメント制度を実施する必要があります。
  4. 地方自治法(昭和22年法律第67号)第74条第1項
    地方税の賦課徴収並びに分担金及び手数料の徴収に関するものについては、条例の制定・改廃の対象外となっています。

政策等の案の公表等

第5条

実施機関は、政策等の策定をしようとするときは、最終的な意思決定を行う前の適切な時期にその案を公表しなければならない。

2. 実施機関は、前項の規定により政策等の案を公表するときは、市民の理解に資するため、併せて次に掲げる資料を公表するものとする。

  1. 政策等の案を作成した趣旨、目的、内容等
  2. 政策等の案を作成した際に整理した実施機関の考え方
  3. その他関連資料

第6条

前条の規定による公表は、次に掲げる方法のうち、必要に応じて選択する方法により行うものとする。

  1. 西之表市広報紙への掲載
  2. 西之表市ホームページへの掲載
  3. 実施機関が指定する場所での閲覧又は配布

2. 公表する場合は、意見等の提出先、提出方法、提出期限及び意見等の提出に必要な事項を提示するものとする。

3. パブリック・コメント制度の実施に際しては、第1項各号に掲げる方法により案件名等を事前に予告することができる。

考え方

 公表する時期は、政策等の決定期限などを十分に考慮し、内容の修正など寄せられたご意見を反映することが十分可能な素案の段階に実施することとします。
 公表する案等は、市民等がその内容を十分に理解できるよう、表現をわかりやすくしたものとし、また市民等から意見等が提出しやすくなるよう十分な配慮をして資料等の提供をするものとします。
 また条例案等については、単に条文だけでなく市民にわかりやすい「骨子等」を示すものとします。

 案の公表に併せて公表する関係資料(下記1~5)

  1. 施策等の概要
  2. 根拠となる法令
  3. 政策等の策定又は改定にあっては、上位計画の概要
  4. 公聴会で提出された意見等の内容
  5. 附属機関で審議された概要若しくは報告、答申の内容など、必要に応じて準備することにします。

 広く市民等に周知する方法として、第6条第1項各号に掲げるもののほか、報道機関への資料提供なども積極的に行います。
 また、当該分野の専門家や学識経験者、利害関係者などへ個別に情報提供することは差し支えないものとします。

意見等の提出

第7条

実施機関は、政策等の案について意見等を提出するために必要な期間として、公表した日から原則として30日以上の期間を確保するものとする。

2. 前項に規定する意見等の提出方法は、次に掲げるとおりとする。

  1. 郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14年法律第99号)第2条 第6項に規定する一般信書事業者若しくは同条第9項に規定する特定信書便事業者による同条第2項に規定する信書便

 2. ファクシミリ

 3. 電子メール

 4. 担当課へ直接持参

 5. その他実施機関が適当であると認める方法

3. 意見等を提出しようとする市民等は、住所、氏名その他市民等であることを示す事項を明らかにしなければならない。

考え方

1. 案を公表してから意見等募集期間は30日と設定します。
 国の「規制の制定又は改廃に係る意見提出手続」(平成11年3月23日閣議決定)の1か月に準じるものとしました。
2. 郵便、ファクシミリ、電子メール、担当課への直接持参、とする。意見等の提出方法は、案の公表時に随時明示します。
 (5)については、「宅急便」などが考えられます。
3. 市民等に責任ある意見等の提出を求めること、また意見内容の確認をする意味からも、原則として意見提出者の氏名、住所(法人等の場合は、その名称及び事務所等連絡先の所在地)及び電話番号など、市民等であることを証明するものの掲載を求めるものとします。
 なお、匿名の場合は、実施機関の考えを示さなくてもよいものとします。
 電話など口頭による意見の申出については、趣旨等内容が不明確になる恐れがあるため、書面による提出を求めるなど適切に対応することとするが、あくまで、口頭による申出を望んだ場合、応対者がその内容を取りまとめ参考意見として受け入れることとし、実施機関の考えは示さないものとします。
 また、身体に障害を持つ者からの申出や視覚に障害を持つ者などからの録音テープ、点字などの方法により意見提出があった場合は、適切に対応処理するものとします。

意思決定に当たっての意見等の考慮

第8条

実施機関は、前条の規定により提出された意見等を考慮した上で、意思決定を行うものとする。

2. 実施機関は、前項の意思決定を行ったときは、最終案、市民等から提出された意見等及び当該意見等に対する実施機関の考え方(次項において「最終案等」という。)を公表しなければならない。ただし、西之表市情報公開条例(平成14年西之表市条例第14号)第7条に規定する不開示情報に該当するものは除く。

3. 前項の規定により最終案等を公表する際に、意見提出者の氏名その他の個人情報を公表する予定であることを明示しているときは、その旨を公表するものとする。

4. 前2項の公表は、第6条第1項各号に掲げる方法のうち、必要に応じて選択する方法により行うものとする。

考え方

  1. 単に賛否の結論だけを示した意見については、実施機関の考えは示さないものとします。
  2. 提出された意見等を十分に踏まえた上で公表していた案を修正し最終的な案の意思決定を行った場合は、その最終案と市民等から提出された意見等及びその意見等に対する市の考え方を公表するものとします。
     市民等から提出された意見等は原則としてすべて公表対象としますが、その案に対して関係のない意見等、第三者を誹謗中傷するものなどは公表しないものとします。
     市民等から提出された意見等を公表する場合、原則、一意見に対して一考え方を示すことを基本としますが、必ずしも意見の原文をそのまま公表する必要はなく、その意見等の趣旨からはずれないように要約し、また複数の同様な意見等があった場合は、まとめて各々の意見等に対する市の考え方とともに公表します。
  3. 意見等の公表に当たっては、意見等を提出した市民等の住所、氏名、電話番号など個人に関する情報など、西之表市情報公開条例第7条に規定する非公開情報に該当するものは公表しませんが、学識経験者や専門家に限っては、氏名又は団体の名称を公表することを明示して意見を求めることとし、結果を公表することが考えられます。

実施状況の公表

第9条

市長は、毎年度、各実施機関のその年度におけるパブリック・コメント制度の実施状況を取りまとめ、これを公表するものとする。

委任

第10条

この要綱に定めるもののほか必要な事項は、実施機関が別に定める。

考え方

 実際には、対象案の担当課が事務手続を行っていくが、制度を適正かつ円滑に実施していくため、パブリック・コメント制度の統括・管理は企画課長が行うものとする。制度の実施について必要があれば、別に定め、統一のルールで実施していく。

附則

 (施行期日)

1. この要綱は、平成16年8月1日から施行する。

 (経過措置)

2. この要綱は、施行の日以後に実施機関が策定する政策等について適用し、既に策定過程にある政策等については、適用しない。ただし、実施機関において必要があると認めるときは、この限りでない。

附 則(平成19年10月1日告示第120号)

この要綱は、平成19年10月1日から施行する。

考え方

 施行日以後に政策等を策定する場合は、この要綱に基づきパブリック・コメント制度を実施していく。しかし、施行日に既に策定中の計画や今後のスケジュール等を勘案して日程等無理が生じる場合はパブリック・コメントの実施は義務付けられない。

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