19 全天候型考(2018年11月号)

 西之表市の市制施行60周年を記念する市民体育祭は今年で第56回を数えました。会場となった市営グラウンドは、市制施行から10年後の1968(昭和43)年の完成で、こちらは50周年です。
 緑の芝生に覆われたフィールドではゲートボールやグラウンドゴルフの大会も盛んに開かれています。1周400メートルのトラックは開設当初から土の地面です。体育祭の直前に引く白線は、雨が降ると流れてやり直しになり、担当職員泣かせでもあります。
 この市営グラウンドで今年9月、陸上400メートル日本記録保持者で東海大教授の高野進さんが小中高生を対象に「かけっこ・ランニング教室」を開きました。
 高野さんに「改修したいのですが、土のトラックで申し訳ありません」と話したら、「子どもたちには、土の方が安全とも言えます」と慰めてくれました。弾力性を工夫した全天候型舗装より、人が倒れた時の衝撃が小さいようです。教室の応募者が多かったのを見るにつけ、改修への思いが募りました。
 「全天候型の競技場がほしい」という声とともに、各種スポーツ施設拡充の要望がたくさんあります。陸上競技のほか球技などの体育館、相撲、弓道、柔・剣・空手道などの武道館、野球、サッカー場、水泳プール、テニスコート……。いずれも巨費を要し、長年、実現できていません。
 しかし、施設がレベルアップすれば、種子島の子供たちから大人までスポーツに親しみ、競技力の上昇も期待されます。スポーツ合宿の学生らを呼び込むこともできるでしょう。
 「何か一つ、始めなければ」との思いが強まっています。

市民体育祭で聖火を手に走る選手

市民体育祭で聖火を手に走る選手