17 夢と希望と勇気(2018年9月号)

 北海道・礼文島から沖縄・石垣島まで23チームが参加した第11回全国離島中学生交流野球大会の開会セレモニーで、大会提唱者の村田兆治さんは「夢と希望と、挑戦する勇気」を球児に伝えたいと語りました。その意味を大会観戦で実感することになります。
 翌日、安納の西之表市営球場で始球式に立った私は、昔の安納飛行場を思い出しました。ここをロケ地にした日活映画「零戦黒雲一家」(1962年公開)は東町の東洋館で上映されました。主演の石原裕次郎は当時、長嶋茂雄選手を讃える歌「男の友情 背番号3」でも人気を博しました。名選手に憧れた少年の日の記憶とともに、裕次郎節が今も耳に残っています。
 「離島甲子園」とも呼ぶ大会は種子島では8年ぶりの開催です。種子島中学校は、第7回に続く2度目の優勝を目指しました。初戦を勝ち上がった準々決勝で対馬ヤマネコボーイズと対戦。一回表に1点を失ったその裏と、さらに四回にも三塁まで走者を進めながら今一歩で得点できず、0‐1の緊迫が続きました。
 終盤の六回裏1死後、二番打者が三塁へのセーフティーバント成功で出塁し、三番の右中間二塁打で生還して同点。四番の犠打で2死三塁とし、続く五番の右中間三塁打で勝ち越しました。劇的な逆転勝利に応援席は跳んだり跳ねたりの大喜び。準決勝では佐渡市中学校選抜チームに敗れましたが、堂々3位の戦いぶりに大人もちびっ子も「挑む勇気」をもらいました。
 種子島宇宙センターであった決勝戦では、佐渡チームが宮古島アララガマボーイズの3連覇を阻み、初優勝しました。両チームには、それぞれに敗れたチームが懸命の応援をしていました。次回開催地は長崎県対馬。また新たなドラマが生まれることでしょう。

宇宙センターで行われた決勝戦

宇宙センターで行われた決勝戦