8 琉球土産の踊り(2017年12月号)

 庄司浦の「ヨンシー踊り」が熊本県芦北町で11月に開かれた九州民俗芸能大会に出場しました。けいこ場を訪ねると、踊りの歴史と復活への取り組みについて、7年前に書かれた新聞記事が掲げてありました。
 踊りのルーツは、沖縄本島の国頭村(くにがみそん)などに伝わる民謡「国頭(くんじゃん)サバクイ」。このことを私が知ったのは十数年前のことです。
 明治百年の1968年に出版された「現和郷土誌」は「昔私供の祖先が船員として琉球旅を致し、先方にて見習い郷土で始めたもの……」と記しています。
 18世紀頃の藩政時代に琉球土産として伝わり、戦前まで風本神社の秋季大祭で毎年演じられていましたが、戦争で途絶えました。60年代半ばに踊られたものの、続かずに消滅しかかっていました。
 1979年秋、庄司浦の願成就(がんじょうじゅ)で当時の青年会長下園次男さんは、長老の男性が竹ぼうきを持ち、跳びはねて踊りだすのを見て、目を丸くしました。由来を聞いて復活を決意し、仲間を集めます。昭和ひとけた生まれの先輩たちに約1100字の歌詞とメロディー、踊りを教わって練習し80年、約40人が研修施設落成祝賀会で初舞台を披露しました。
 ヨンシー踊りが市の無形民俗文化財に指定されたのは2011(平成23)年。西之表にはこのほかにも横山盆踊り、深川めん踊り、古田獅子舞、住吉源太郎踊り、安納棒踊りなど数多くの民俗芸能が伝わっています。伝承に苦心している皆さんを心から応援します。

ヨンシー踊りの練習をする人たち

ヨンシー踊りの練習をする人たち