4 アグリッパ像(2017年8月号)

 七夕の朝、久々に馬毛島に渡りました。旧馬毛島小中学校の現況調査で、市長と教育長、総務課、行政経営課、財産監理課、建設課などの職員計十八人が漁船2隻に分乗しました。学校用地は西之表市の所有地であり、校舎を含め市民の財産です。防災対策として緊急時の避難施設に指定しており、建物内外の点検・補修を目的に、市職員としては数年ぶりの渡島でした。
 馬毛島の土地の九九%を所有する企業タストン・エアポート社の会長らも調査に合わせて東京から来島しました。同社の協力により、私たちはマイクロバスに乗り、各種工具、資材などの荷物を軽トラックに載せてもらい、葉山港から学校正門まで市道1号線の約1キロを移動しました。
 私たちは小学校、中学校の校舎、体育館(集会室)の屋内に入り、風雨で破損した窓には応急修理として板を張り付け、校舎周囲に繁茂した樹木の伐採や草刈りをしました。補修は今後、さらに進める必要があります。この日の作業終了後、同社の案内を受け、島の内陸部にある場外離着陸場(約1200メートル)の北端まで車で移動し、造成地の一部を見ました。
 この渡島で印象に残ったのは、校舎廊下の窓に掛けられていたアグリッパの石膏像です。ある卒業生によると、彼の在校中は図書室に掛かっていたそうです。
 アグリッパは古代ローマの武人です。時空を超えて、無人化した校舎を今も見守っていると感じました。

小学校の窓に掛けられたアグリッパ像

小学校の窓に掛けられたアグリッパ像